前回
4に多かった派手な要素の多いシナリオと、3までの丁寧な人間ドラマのハイブリッドって感じがする完成度の高いシナリオだと思いました。
ミステリーとして二転三転する前提や、意外な真犯人など気持ちのいい裏切りが多く、最後まで勢いよく楽しませてくれつつも、動物を通して各登場人物の魅力が浮かび上がるドラマにほろりとさせられる。隙のない構成でしたね。
やっぱり今回はみんな登場人物が魅力的だったと思います。基本的に悪役がいなくて、各々が各々の信念とか譲れないものがあって、あくまでその中のすれ違いが起きてしまっただけという。
水族館組は基本的に動物を大切にしているし、作家の浦鳥さんも真実に対しては誠実だったし、真犯人も恋人の復讐をたくらみつつも船長に対してはきちんとリスペクトがありましたからね。
だれも悪くはないけど悲しい事件が起こってしまうという意味では2-3の「逆転サーカス」に近いものがありました。あちら以上に希望をあふれた終わりを迎えましたが。
個人的には終始にこやかに立ち振る舞いつつエールに寄り添う気持ちを貫いたショーコはお気に入りのキャラになりました。モーションも豊かだし。地味に絶対領域がセクシーだし。
あとガクさんもよかったですね。ぶきっちょだけど人は良くて知的で有能。怪しそう~な雰囲気がいい意味でミステリーをかき乱してくれましたし(犯人だと思ってました)。実際は彼のもたらしてくれた情報でわかったことも多いのでめっちゃ助かる存在でしたね。
ミステリーも面白い。「シャチが被告人」という飛び道具から始まるのだけれど殺害方法→殺害場所の違い→狙っていた相手の違い、とどんどん真実に迫るごとに前提条件がひっくり返っていって、目まぐるしく変わる状況を追いかけていくだけでもすごく面白かったです。
しかもミステリーを読み得ごとに水族館の裏側の部分がどんどんわかるようになっていて、登場人物たちの掘り下げも兼ねているっていうのがまたすごかったですね。この人物はこう考えるはずだから、事実もこうなるはずだ! とロジックを詰めていく様はめちゃくちゃやりがいがありました。
ま、難易度自体はヒントが多くてかなり易化はしてると思いますけどね。とはいえ、ここまで暴いたのにまだ食らいつくか! みたいな瞬間が多くて楽しかったですよ。
はみちゃんが出てきたり、ようやく復活したカガク捜査があったりと細かい見どころも多かったです。やっぱりカガク捜査はいいね。逆転裁判の探偵パートで一番楽しいよ。
なにより、魅力的な人間たちのドラマを見せつつ、最後は過ちから社会復帰したイクヤが再び海賊たちに迎え入れられてる姿があって、それが一度過ちによって弁護士バッジを失いつつも帰ってきた成歩堂の姿とも重なるようで素晴らしかった。
構成〇、キャラ〇、後味〇でかなり隙のない話だったと思います。
これが特別編ってすごいね。後半のエピソードもこれくらい楽しいといいなあ。
では、逆転裁判5-3でまたお会いしましょう。ほなまた。