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映画「スパイラル:ソウ オールリセット」 ネタバレあり感想 〜闇の中の真実はソウでもない〜

 

過去の感想

 

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【前書き】

 

 こんにちは。最近ソウシリーズが少しアマプラに入ってきているようです。

 

 

 確認したところ3,4,5でした。中途半端すぎないか……?


 シリーズを1から見る、というのはまたもう少し余力があるときじゃないと行けないみたいです。仕方ないですね。

 

 こういう時は手ごろな作品で一発欲を発散するのがいいでしょう。


 ということで今回は、ソウシリーズのリセット作、スパイラル:ソウ オールリセットを見ていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【点数】

 

4.5/10.0点

 

 

 

【短評】


ゴア描写と刑事ミステリーが衝突事故を起こしてどっちつかずになってしまった作品。

 

 

 

【良いところ】


・テンポが良い

 

 本作の作劇で唯一明確に褒められるところはテンポの良さでしょうか。90分と短めな本編にいろんな事件をギュギュッと詰め込んでるのでイベントが尽きず、常に何かしらは画面内で起こっている感じにはなっています。


 どんどん状況が悪化していく中でなんとなく焦燥感をもたせる、という部分は割と成功していたんじゃないでしょうか。


 後半ちょっと失速した感は否めませんが……。

 

 

 

・刑事ドラマとしての最低限度の要素が揃っている

 

 色々とドラマの要素に不満はあるのですが、刑事ドラマとして最低限は揃っているのでまあ見れないことはないです。


 爪弾きにされてる皮肉屋なようで根は熱血の刑事と、シュッとした柔そうな新人のバディというのはまあありふれてはいますが独特の軽口もあって悪くはないですし、犯人から届く小包から見えてくる思想とか、それに対する調査の進め方とか、前述のテンポの良さもあって結構のめりこめはするんですよね。


 冷静に考えるとん? となるとこもあるんですが、イベント目まぐるしさのおかげであんまり気にしなくて住んだというのもあります。

 

 

 

・軽快な台詞回し

 

 全体的に台詞回しは楽しかったと思います。主演のクリスロックは向こうでは有名なコメディアンと聞きますが、その影響があるのでしょうか。皮肉たっぷりに感情を乗せるジークの言動は楽しいものがありました。

 

 

 

【うーんなところ】


・全体的な描写不足感

 とにかく本作は薄い。イベントは多いんですけど、そのイベントを印象付けるための布石が少なくて全体的に薄味なんですよね。


 本作のシナリオは「腐敗した警察に対して」、「それに憎悪を抱く犯人が」、「ジグソウの模倣犯として残酷なゲームを仕掛ける」というのがメインだと思うんですけど、この全部がまあ物足りない。


 警察の腐敗は言葉の上では何度も強調されますけど、具体的な部分はゲーム前の犯人のゲーム説明でちょっと出るくらい。それをした人間側の掘り下げも皆無だからふーんって感じになっちゃうというか。


 犯人側の憎悪もそもそもパーソナリティの掘り下げが薄い。父親を殺したやつを恨むとかならまだわかるけどそこから組織憎しに至るまでの過程がちょっと飛んでるせいで狂気的な事件を起こすまでの導線が足りてない気がする。


 そして上記のせいで、ジグソウの模倣であるゲームがちょっと滑ってしまっている。端的に言うと「なんでそこまですんの……?」って話。


 この薄さはキャラクターにおいてもそうです。


 ジークと親父の関係はそもそも親父が出てくる時間が短すぎて犯人の思想との比較が弱い。ジーク本人も割とオーソドックスなキャラ付けなので、なんというか嫌悪感とかはないけどあんまり印象に残らなくて……。


 その他人物は言うまでもなく、全体的に薄味。


 これがこの作品の一番微妙だなあと感じた部分です。

 

 

 

・完全にPVとかしたゲームシーン

 

 上記で「ジグソウのようなゲームを仕掛ける必然性がない」と話しましたが、その上で今作のゲームは生存方法がほぼ死に直結するものばっかりでほぼ殺戮ショーになっちゃってるんですよね。


 おまけに本作はゲームの参加者ではなくゲームを調査する刑事視点で進むもんだから、ゲームシーンがほぼ被害者演出でしかない。


 要は物語的な意味合いが薄いというか。その尺別のシーンに使ったら? と思えてしまうのがもったいないなと感じました。

 

 

 

・オチの弱さと黒幕の魅力不足

 

 本作は黒幕は複数のミスリードをしながらぼかされていくんですが、後半でそのミスリードが一気にしまわれていってしまうので最後の方ではもう黒幕候補が残ってないんですよね。


 だから「実は俺が犯人だ」と出てこられてもあんまり衝撃感がなかったです。そしてそこからネタばらしとして犯人の背景があれこれ出てきますが尺と見せ方の問題かあんまり耳に入らず。


 ソウはクライマックスに注力してる作品だと認識してましたけど、本作はちと弱かったです。


 ラストも嫌な気持ちになるだけで、今後になにかつながるわけでもないですしね。黒幕はほぼ情報を出し切ってしまったので、続編を出されてもなぁ……と。

 

 

 

・SAWとしての要素は必要だったのか?

 

 本作はオールリセットと銘打たれていますが、実際はソウシリーズを意識した演出がそこらかこに散らばっています。豚のマスク、小型テレビからのゲーム説明、PLAY MEと書かれたカセット、豚、ジグソウの名前、ノコギリ……。


 そしてそのどれもが物語的な意味を持ちませんでした。せいぜい「ジグソウの模倣犯」であることの意味付けくらいですがそもそも黒幕が「ジグソウを模倣した」ことの意味合いがうすすぎて、ただこの作品を「ソウ」っぽくするためだけの要素になってはいないでしょうか?

 

 

 

・吹き替え

 

 吹き替え版で見たんですけど、犯人の声の加工が弱いのかめちゃめちゃ声で黒幕わかっちゃいそうでした。

 

 

 

【総評】

 

 なんだか色々言ってしまいましたが、個人的にはそんなに嫌いな作品ではありませんしなんならちょっと好きです。導入の部分はかなりワクワクするものでしたし、中盤くらいまでなら70点くらい上げてもいいかのと思っています。


 ただやっぱりどうしても後半の弱さや全体的な物足りなさを補うことは難しく、点数をつけてしまうとちょっと辛めになってしまうかなあ、という印象です。


 ソウシリーズとしてではなく一つのミステリーとして見れば見ごたえもあるかもしれませんが、それでもやはり後半の失速感は辛いものがあります。


 要素要素は面白そうだっただけに、それを活かせなかったのが惜しい作品……といったところですね。