過去の感想
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【全話感想】
第一回 まなつのファンファーレ
1期の終わりからのダイレクトな続き。関西大会に抜けたことで意思の形がはっきりしてきたようで部の空気も1期と比べても全然違いますね。地味に葉月の練習成果が出てきたりと前向きな要素盛りだくさん。麗奈と葉月・サファイアの関係性も生まれ始めたのは、麗奈がみんなの思いにきちんと向き合ったうえで特別になろうとする意思の表れなのかもしれませんね。久美子も誘ったりと前向きな変化だらけ。後今回は久美子の緩んだ口調が特に楽しかったです。素の彼女がだいぶ見えてきてるってことかも。
そんな爽やかな流れのなかでフィーチャーされることになったのは2年生。無口できれいなみぞれ先輩と、部活に復帰したい希美先輩にあすか先輩も絡んでギクシャクとした人間関係が見え隠れしております。
爽やかな夏の深まりと、その裏にあるちょっと怖さが見え隠れする2期の始まりとなりました。
第二回 とまどいフルート
夏のプールでの華やかな休日の裏にあるジメジメした後悔が見え隠れするエピソードでした。なんか希美先輩の言動一個一個が生々しくてすごい嫌な汗をかいちゃいました。感情の整理がつかなくて溢れ出しちゃうところとか見るのきついですね。水着回ではしゃぐどころじゃないっす。
2年生との交流の中で南中面子の過去が見え隠れしつつ、そこに気をヤキモキさせる久美子。感情の整理をつけられず後悔してる希美先輩に感情移入しているようにも思えました。過去の思い残しに向き合って進んだというのは1期の久美子も同じでしたしね。
じんわりとした湿度の癒しは愛に振り回される高坂麗奈だけです。頼んだぞ。
第三回 なやめるノクターン
悩みは深みを増すばかり。でも目指す場所の兆しもまたキラリ、といったところ。
みぞれ先輩のかつての親友への恐れとか、滝先生の過去とか、複雑な2年生の心理模様とか、まとまりきらないいろんな交錯を久美子視点で追いかける流れでしたね。みぞれ先輩は直接気持ちを語ったのは前回くらいではあったものの、色々なところでその本心が見え隠します。コンクールへの気持ちが向けきれない理由はそりゃもちろん希美先輩なんでしょうが、でもどうすればいいのやら。あすか先輩もなんだかまだまだ見せてくれない姿がありそうですし。
でも優子先輩のマインドはスカッとしてて救われましたね。ブレない気持ちと正しさを認める勇気を持つかっちょいいまとまり方をしていました。なんだかんだ前と比べると強くなったということなんでしょう。
第四回 めざめるオーボエ
氷解の回。みぞれ先輩の本音の吐露と希美先輩との和解が描かれました。
希美先輩の鈍さもさることながら、殻にこもってどうにも吐き出せない思いをグルグルしてたみぞれ先輩にも「おい!!!」って感じでなんともヤキモキする回でした。感動というよりも「それでいいんだよ!!!」と焚き付けたくなるような。優子先輩が吠えた瞬間の今その言葉が必要なんだ!!! という気持ちがすごかったです。素直に気持ちを吐き出せる優子先輩の強さに救われましたね。
相手と自分の非対称な眼差しにやきもきするみぞれ先輩にはかなりドキリとさせられました。分かりますこういう気持ち。でも蓋を開けてみたら希美先輩みたいに良かれと思ってみたいなパターンも割とあるもんなんですよね。それもまた分かります。
希美先輩は希美先輩で、自分のしたことがみぞれ先輩に大きな影響を与えてるなんて思わないもんだからまたややこしくなるんですよ。鈍感たちめ! 振り回されたのは周りだぞ! 希美先輩は自分の行動の意味を認識しろ!
とはいえ、仲直りできてよかったですね。夏紀先輩や優子先輩の尽力も報われるというものです。久美子も気を揉んでいたし。
あすか先輩、自分の中では聡明ゆえに他者と一線引いてる臆病な人って認識なんですがどうなんでしょうね。久美子はまだその輪郭をつかめていなさそうです。
第五回 きせきのハーモニー
関西大会編もクライマックス。全国へ向けての大一番です。節々の部員同士の会話がアチィ。
小細工抜きの長回し演奏パートのアニメーションが力強くてすごかったですね。この作品のトロの部分ではありますが、2期もまだ中盤だというのにここまでやってくれるとは。雄弁に語るようなみぞれ先輩のソロパートとか、麗奈のソロパートで改めて彼女の眩しさを感じる久美子とか、印象的なカットも多かったです。あとこの回見て打楽器操る女子ってかっけぇなって思いました。
余韻を残したままダイレクトにエンディングに飛び込む構成は完璧です。Cパートで全国行きを確定させてくる後味への配慮も優しい。
このアニメとしては一つの完璧を叩き出した感じがありました。素晴らしかった。
第六回 あめふりコンダクター
ユーフォ特有の前半後半で寒暖差のデカいお話でした。
前半の文化祭パートではやっぱり葉月や希美先輩も含めて皆で演奏してるところにぐっときましたね。来年また新入部員増えてからだとコンサートメンバーにはいるの簡単じゃないとは思いますけど頑張ってほしい……。
上級生達の微笑ましい姿も見れて久々に秀一もやってきてと賑やかな前半でしたが、後半は雨に振られる久美子と滝先生の話へ。久美子の姉への込み入った感情は1期から語られてはいますけど、終始断片的なものなんですよね。どこかで踏み込んだ話をするってことなんでしょうけど。
滝先生の奥さんの話を踏まえると、これまでの強い態度になんだか色々思いを馳せてしまいますね。未熟にも思えた激情に個人的なものがあったとなればまた見え方が変わります。
ラストはあすか先輩に忍び寄る……母親ですかね? 嵐を過ぎて覚悟は決まっても、平坦な道とはいかないのが大変だ。
第七回 えきびるコンサート
あすか先輩の家庭事情のエグみに胃がムカムカしてきました。母親の感情の出し方の迫力がもう見てられない……。
あすか先輩の進退に揺れる吹奏楽部が描かれていました。担ってきた役割は表に見えるものだけでも相当なものですし、みぞれ先輩の件みたいな水面下でコントロールしてきた部分も含めるとまあ相当なんでしょうね。部がぼろぼろになる理由も分からなくもないというか。
そんな窮地を支えるのが1期から必死に頑張ってきた部長なのが熱い。演奏パートのソロでは溢れ出る感情を叩きつけるような激しさがあって、ソロをやり切るぞ! という責任感が引いては自分が部活を引っ張っていくという決意に感じました。かっこよかったです。
第八回 かぜひきラプソディー
ここにきて久美子のとても個人的な部分、姉に関わるお話でした。姉もまたさぁ……なんというか、人生の揺らぎを突きつけられるのは見てるこっちもきつい。半端に隠して、見ないようにして、ごまかしてきた感情が溢れたってことなんですかね。ガチ姉妹喧嘩はかなり……うん。
幼少期久美子の素直さが微笑ましかったですが、そこからだんだん利口になろうとして離れていく姉を見ていたのが今のちょっと擦り切れた久美子になった要因だったんだなと改めて思いました。もともとは姉と演奏したいという素直な憧れだったというと、実は麗奈に似ていたのかも。なんなら麗奈に感じている憧れは、かつて姉に向けていたものに近かったり?
まあともかく、姉にとって遠ざけていた音楽はただの通り過ぎた思い出の一つだったのかもしれませんが、久美子がいたからこそその時の大切だった想いを思い出せたのかもしれません。それが何だと言われたら、悲しいだけの過去じゃなくてよかった、というだけなのかもしれませんが。でもそれはお姉ちゃんが今と向き合うのに必要なことにも思えました。
第九回 ひびけ!ユーフォニアム
ここでタイトル回収、だと……? と思ったら、これはあすか先輩への言葉なのでしょう。
あすか先輩のお家訪問回。家の大きさに驚いたなと思っていたら明らかになるあすか先輩の過去話。そしてそこに切り込む久美子という構図のエピソードでした。切り詰めなければそこにいることすら許されなかったという思いの吐露は、いつもの軽口でも誤魔化せないくらい深刻でしね。
父親への想いと全国で会いたいという欲求がこれまでの一貫性のなさそうな先輩の立ち回りの裏側にあったと。本人は自虐していたものの、人並みの欲とずる賢さが見えたことでようやくあすか先輩の人となりを感じられたような気がします。それは久美子も同じようで、演奏者としてのあすか先輩への憧れを吠えていましたね。かつて辞めていくのを止められなかった、姉への憧れをあすか先輩に重ねているのでしょうか。
あすか先輩の周囲への冷たい眼差しは自分を理解なんてしてくれないだろうという諦めであるんでしょうが、同時にそれをわかっていて周りを利用としているずるい自分にも向けられていたのかもしれません。だからこそ、演奏者としても好感を抱いていてかつそれを踏み込んで言及してくれそうな久美子には話してくれたんでしょう。だとすれば奥底に触れたうえでそれでも好きだと言ってくれる久美子の言葉は彼女にとって大きかったんじゃないでしょうか。
滝先生に浮き足立つ高坂麗奈さんが可愛かったですね。
第十回 ほうかごオブリガート
完璧でした。本当に素晴らしかったです。2クール分積み重ねてきたエピソードの重みが熱のこもった演技と共に弾けてスパークする最高の回でした。
あすか先輩への周囲への「自分のことを理解できるわけがない」みたいな苛つきは、いつからか「こんなずるい自分のことを受け入れてくれる人なんていない」みたいな自信のなさなっていた……前回の感想で述べた部分がクリティカルだったようです。それが明言され、久美子に対しても一線を引いたうえで、それを久美子が個人の感情で乗り越えるというのはなんとすごいカタルシスでしょうか。ありのままの自分の醜さを晒したうえで一緒にコンクールに出たいとあんなに情熱的に伝えてくれる後輩がいてくれるなんて、この上なく嬉しかったことでしょう。
そして久美子自身もまた、姉とあったかもしれない未来に思いを馳せて、怖がりながらも震えながらも声を振り絞るというね。あの久美子が叫ぶ一連のセリフはアニメーションと演技の組み合わせで過去最高に胸に響きました。こんなにも個人的な感情を叩きつける久美子が見れるなんて……。
久美子のお話として完璧でした。ありがとうございます。
しかしこのままコンクール行ってもよさそうなんですが、なんか高坂麗奈さんが……?
第十一回 はつこいトランペット
吹っ切れたあすか先輩がお調子者っぽくなくなるのが憑き物が取れた感じでなんとも嬉しかったです。
高坂麗奈が滝先生への恋心に整理をつけるまでのお話でした。元々強く感情が出ることの多い彼女ですが、うっかり知ってしまった滝先生の奥さんの話で相当荒れてしまっていたようです。感情の向けどころがなくて演奏がブレるどころか、久美子にも素っ気なくなり終いには怒りをぶつけるなどもうすごいことに。それほど強く熱中できるのは彼女の真っ直ぐさと表裏一体であるので納得はできますけどね。
最終的には滝先生に直接奥さんのことを聞いたりお墓のことを調べたりととんでも行動力を発揮しつつもちゃんと今自分がやりたいこともできることに折り合いをつけるのはすごいことかもしれません。納得できるまでやり切るのが彼女の強みですね。どこまでも伸びるようなトランペットの音色にもそれが表れていたと思いました。
第十二回 さいごのコンクール
なんかここにきて当たり前のように決戦前夜ムーブをしてくる秀一の幼馴染力に感心しました。2期かなり影薄かったのに。
ついに訪れた決戦ですが、目指していた栄光には1歩も2歩も遠かったようです。演奏はあえて流さないし、今の精算と未来への1歩を確かめることが主となっていましたね。悔しいなあ。
それでも満足感があるのは2期の後半で繰り広げられてきたあすかと久美子のお話にきちんと答えが出たからだと思います。父親に認められたあすかにも、姉への想いをようやく言葉にできた久美子にも、よかったなぁとしみじみとした感情を抱いています。久美子が自分の感情をあんなにまっすぐ伝えられる日が来るとは。変化ですね。
個人的にあすか先輩が香織先輩と部長をカフェに誘うところも好きでした。ようやく対等な目線の友人として見れるようになったんだなと。あと事前には覚悟決まってる声かけをするけど終わったら大泣きする部長も好き。
あと今回思ったのが、サファイアって毎回芯食ったことは言ってるんだなと……本筋には絡まないけど……。
第十三回 はるさきエピローグ
2期完結。学園モノらしい王道のお別れでした。
新部長はまあ言われてみたらそのとおりだし、副部長もまあそうかと言われれば……そうかもしれません。ここからの1年はさぞ賑やかな日々になることでしょうね。
お別れのトピックは色々ありますし、演奏シーンも印象深いところは多いです。でもやっぱり特筆するべきは久美子とあすかの最後のシーン。演奏者としての尊敬と人としての薄情さを2クールかけてずっと見つめてきて、そしてお別れとなった時改めてあすか先輩への気持ちがまとまったのでしょうね。そして、それを伝えなければ後悔になってしまうということも彼女は理解していました。
好きじゃなかったところも含めて今は大好きだという気持ちがビシビシ伝わってくる素晴らしい場面だったと思います。あすか先輩への憧れと彼女の後悔のため、久美子はこれからも頑張っていくのだろう……そんな風に未来に思いを馳せてしまいました。
シーズン通して久美子とあすかの描き方が素晴らしく、特濃の人間ドラマに何度も心を動かされました。ありがとうございました。
【点数】
9.0/10.0 点
【短評】
黄前久美子の大きな一歩を中心に個々人の成長を描いた良作。
【詳細な感想】
1期とはまた違う意味で面白いシーズンだったと思います。
1期の感想の際は構成の丁寧さと組織と個人の話の接続という丁寧さが好印象でしたが、2期は逆にとことん個人にフォーカスしたことによる感情的な盛り上がりが素晴らしいシーズンでした。
2期を語るうえで欠かすことができないのはやはり久美子とあすか先輩のお話です。極論2期はあすか先輩の掘下げと彼女の心に向き合う久美子が最初から最後まで軸になっていました。この一連の心の揺れ動きの描き方に関しては全く文句がありません。100点満点だと思います。
希美先輩とみぞれ先輩のすれ違いを描くことで伝えることの必要性を説き、久美子の姉妹の話を描くことで彼女にとっての音楽の意味を問いかけなおし、あすか先輩の家庭事情を姉の話と重ね合わせたうえでそれでもと久美子が踏み込む。1期も含めてずーっと久美子がぐるぐると考えてきた感情が最後の最後に爆発した瞬間の得も言われぬ感情は筆舌に尽くしがたいです。積み重ねの力が活きている素晴らしい構成でした。
個人にフォーカスした話が多い分、要所要所のシーンの感動もひときわ強くなっています。心を曝け出しあった久美子とあすか先輩はもちろんのこと、すれ違いながらも最後に本音をぶつけ合うみぞれ先輩と希美先輩とか、責任ある立場の覚悟を示す部長とか、滝先生の真実に揺れる麗奈とか。
元々ユーフォは個々人の地に足ついた心理描写をしている作品だったなと思いますし、その強さがよく出ていましたね。
個人的には麗奈のことを吹っ切れた後周囲のために尽力する優子先輩が好きでした。みぞれ先輩にかけたまっすぐな言葉がとても印象的です。一期で見られた前のめりすぎる姿勢が、覚悟が伴うことで踏み込みにくいところに勇気をもって飛び込んでくれる気持ちのいいところに代わっていたのは見せ方が見事だなと。
まあキャラも増えたうえで話が個人に寄ったので描かれる人とそうでない人の差が生まれたシーズンでもあるとは思います。2,3年生が中心になる時間が長かった分1年生の話は少なかったかなと。とはいえ短い場面で印象的なシーンを作れていたとは思いますよ。文化祭で演奏してる葉月を見てグッときましたしね。あと個人的には要所要所ですごくいいことだけ言うサファイアが妙にツボです。
演奏シーンは相変わらず文句なしですね。名前も知らない生徒の演奏のカットですらその迫力につい見入ってしまいます。打楽器の描写が全体的に好みです。
あとは個人的には駅ビルコンサートが良かったですね。覚悟の決まった部長のかっこいいまなざしと、ベースを悠々と弾いているサファイアがマジでカッコよかったと思います。
総じて、構成の無駄のなさ・要素の配置の丁寧さみたいな機能美は話が膨らむ中で失われた部分が多いなと思った一方で、より深く・情熱的になった個人のストーリーはそれを補って余りある魅力を持っていたシーズンだったと思います。
特に一期を踏まえた黄前久美子成長の章としては、ほぼ文句のないシナリオだったといえるでしょう。
【最後に】
ということで二期でした。
とにかく終盤のドラマが素晴らしいシーズンだったと思います。それでいて未来にもきちんと希望を託してくれる、とても後味のいいシーズンでした。
なんだかんだで自分は人の感情の発露に弱いところがあって、そういう情緒が溢れそうな味わいをがっつり楽しめる力がある作品になっていましたね。
面白かったです。ありがとうございました。