時空を超える「これすき」

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アイカツプラネット 全話視聴感想 〜新生アイカツはなりたい作品にミラーインできた?〜

 

こんにちは。ネクサス系統と申します。


バンナムフェス両日に奇跡的に行けることになってたので、なんだかんだ見てなかったアイカツプラネット全話見ました。
見終わった結果、楽しめはしましたが色々考えたので、せっかくなので感想をブログにしてみることにします。
当然のごとくネタバレありです。また、アイカツおじさんなので過去作と比べたりもするかもです。

 

以下ネタバレあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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点数をつけるなら
6/10点

 

短評
魅力はありつつも個性を発揮しきれなかった良作手前の並作

 

 

 

【良いところ】
・テーマと実写の兼ね合い
実写を用いた映像を始めてみたときはとても驚きましたが、「なりたい私になれる場所」としてアイカツプラネットとという世界を定義し、そこにアバターにミラーインしてアイドルをする……という構図はとても良いと思いました。
実写にしたのも、現実の拡張先にアイカツプラネットがあるような空気を与えてくれていると思います。
意欲的なアニメ実写二部構成に必然性を良いテーマ選択だと思いました。

 

・キャラデザ
アイドル姿がアバターという設定もあってか、全体的にキャラクターデザインがかなり特徴的なのが印象的でした。大胆なツーカラーを用いたビートなどはその際たる例でしょう。
パステルの強い色合いや、個性のある髪型・差し色など、アバターだからこそできるキャラクター色豊かなデザインはとても可愛らしく、ここは明確にプラネットの良さだなと思いました。
個人的にはシオリ、キューピットあたりが好きです。

 

・ビート
今作における「なりたい私に、ミラーイン!」というテーマを最も体現していたキャラだと思います。
現実では和風美人の生徒会長、アイカツプラネットではロックなアイドル。それをどちらかが本当の自分、のような形ではなく「どちらも私」と肯定したところは、この作品ならではの結論だなと思いました。
アイカツプラネットという舞台に夢を抱かせる、印象的なエピソードです。
またシナリオを通してとレギュラー四人の中で唯一年上ということもあり、落ち着いた雰囲気で四人を支える良き先輩としてかなり好印象のキャラでした。プラネットの最推しです。

 

・普通の学校が舞台
本作は今までのシリーズとは違い、アイドル学校ではなく普通の共学の学校にハナたちが通っていることになっています。
テーマに合わせた(実写に合わせた?)のだと思われますが、これにより自然に世の中のハナたちへの印象の変化や彼女たちの日常感を演出できるようになっていて、とても良い雰囲気だなと感じました。
ビートが先輩としてハナたちと常に行動できたのも、共学の設定が大きかったでしょう。

 

・奇をてらわない王道のスポ根展開
作品としてのコンセプト・取り組みこそ奇抜ですが、シナリオ自体はかなり手堅い方だったと思われます。きちんと一人ひとりのキャラを描いた上で、大会という大目標を建てる。そこに向けて切磋琢磨、ときに対決……というスポ根として無難に面白いシナリオでした。努力友情勝利という展開は押さえられていたと思います。

 

・楽曲
キラリ☆パーティタイムはそのにぎやかな映像と無条件で乗れるリズムがとても好きで、毎話楽しくエンディングを見ていました。

 

・レギュラー四人の空気感
ハナシオリルリビートの、四人が協力したり支え合いながらアイカツに取り組んでいる光景はとても微笑ましく、とても魅力的でした。互いが互いを尊重し合いながら、誰かが悩んでると気にせずに入られない、そんな空気感がとても羨ましいくらいに優しかったです。
キャラの掘り下げもうまく進んでいたのもあって、レギュラーキャラがぶつかる19話、20話あたりは過去作と比べても遜色のない盛り上がりでした。

 

 

 

【うーんなところ】
・ドレシア
個人的に、かなり浮いていた要素だと思います。ドレス自体に宿る妖精のような存在ですが、そもそもどんな存在かわからないうえ、シナリオにあんまり絡んできません。
ドレシアの話自体が印象的だったのは11話くらいなもので、他は正直なくても良かったなと思います。
アイカツプラネットとという世界にあまりファンタジーな要素を感じなかったのも、ドレシアが浮いているように感じる理由だったかもしれません。

 

・ドレス軽視
本作はドレスに関しての話がかなり少ないです。アイドル側のパーソナリティを掘り下げるのはいいことですが、ほとんどのアイドルは着る衣装を変えることもなく最後まで行きます。サラという衣装担当がいるにも関わらずドレスの印象が薄いのは、ドレシアともども要素を持て余しているということなのではないかと思います。

 

・8人のアイドル
本作は実質的に本編が23話のみにも関わらず8人のアイドルが登場します。そのため話を進めながらやった結果日常回チックなものが少なく、キャラの掘り下げには随分差があるように思われます。
特に一番割を食ったと思うのがキューピットで、最初はハナの超えるべき存在として描かれていましたが中盤からローズとの話が中心になり、結果話の中心がレギュラー四人から移らなかったために微妙に話の中心からはずれ、どっちつかずなキャラになってしまったような印象があります。

 

・テーマが薄まった後半の展開
「なりたい私に、ミラーイン!」というコンセプトは魅力的で、どう表現するのかをかなり期待はしていましたが、後半はバトルステージを中心にした展開をとった結果個性にまつわるテーマの話がかなり薄まってしまったように感じます。
確かに対決のテーマ自体は悪くないのですし、話としてはコンパクトに面白いです。ですが、それがアイカツプラネットらしさを表現しているものか? と言われると少し違うと思います。
面白そうな要素は多かったですが、意外と無難にこじんまりとまとまってしまった感じです。

 

・演技
どうしても仕方ないことなのですが、話や雰囲気の作り方をアニメ的なノリから変えずに作っているため、演技はかなり気になります。
実写ではルリのルリ語やビートの「じゃないじゃない」などの誇張されたキャラ個性がどうも変に感じますし、アニメでは演技の質がかなり気になります。
後半のハナの演技などは良かったので、もっと長尺の作品であればまた変わったかもしれません。

 

・実写ライブ
本作のクライマックスでは8人のアイドルが集い実写パートのライブで締めくくられます(厳密にはまた続きますが、まあ本編的にはここがラストでいいでしょう)。
正直これ自体は「最終回なのでキャスト全員でお祭り騒ぎ!」以上の意味がないのはわかっています。ただ、それでも「なりたい私に、ミラーイン!」というテーマをかがけてきた作品なら、アイカツプラネットでのライフで締めくくってほしかったなぁ……という切なさが残りました。

 

 

 

【総評】
実写とアニメの混合というかなり踏み込んだ取り組みを行った作品ですが、その出来栄えは悪くなく、過去のアイカツシリーズと比べても劣らないと思います。
少し変わった要素のあるアイドルスポ根ものとしてみれば、及第点は余裕で得られるくらいの完成度は感じます。
ただ、作品として掲げていたテーマを完遂できてはおらず、持っていた要素を脇に避けて小さくまとまってしまったように感じたのも事実です。
愛着の持てる要素も可能性も感じただけに、2クールで収めてしまったのがもったいない作品でした。
まあとはいえそこそこ楽しめたので、劇場版は見に行こうと思えました。なんとももどかしい作品だ…………。

 

終わり

 

 

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