(似てる気がするんです)
仮面ライダーWという作品を見た。とても面白かった。
街のヒーローとしてのかっこよさ、ハラハラドキドキのミステリー要素、それぞれに人間くさい強さと弱さを抱えた人間ドラマ、メモリを使った飽きないアクションと、どの要素をとってもハイクオリティで、とてもいい作品を見たと思う。
どこをとっても大好きな作品だけど、とくに左翔太郎という男が気に入った。
左翔太郎は「ハーフボイルド」な探偵だ。ハードボイルドではない。
本人はハードボイルドに憧れを持っているのだが、本人はとにかく甘ちゃんなお人好しな未熟者。かっこよさげな言葉や振る舞いをしても、薄いと一喝されたり、感情が先行してうまくいかなかったり。
彼が犯人に情を見せたが故にピンチになるような事も何度かあった。多くの登場人物からも「未熟者」と称される。
では、仮面ライダーWは彼がそこから成長する話なのだろうか。
そうではない。むしろ逆で、「未熟者の翔太郎が出来ないことを周りが補う」という話だ。
翔太郎は未熟者と呼ばれる一方、「甘ちゃんの左翔太郎だからこそ出来ることがある」とも言われる。
彼の甘さは必ずしも弱さとしては描かれていない。時には誰かの過ちを引き止めたり、状況を打開することもある。「左翔太郎」だから出来たことが沢山あったのだ。
Wは2人で1人の仮面ライダーの物語だ。彼にはフィリップという相棒がいる。好奇心の鬼で、誰より知識があり、ドライな決断を下すことも出来るそんな男だ。
翔太郎とは正反対な彼がいるからこそ、翔太郎の弱さを補うことも出来るし、フィリップが出来ないことを翔太郎ができる時もある。
だから、左翔太郎はそれでいい、というのが、W本編の結論だ。
Nobody's perfect。Wに何度も登場するフレーズだ。「完璧な人間などいない」。だから、人は支え合うのだという、Wのコンセプトのぴったりの言葉だ。
このヒーローの描き方はとても新しく思えたし、ヒーローのあり方を広げたようにも見えて、すごく感動した。
同時に、自分は左翔太郎にあるデレマスのアイドルを重ねていた。
多田李衣菜だ。
なんだか、彼と彼女はとっても似てる気がした。
理想があって、かっこつけで、形から入りがちで、はっきりとした弱点があって、でも誰にも負けない良さがある所がよく似ている。
李衣菜はよく「にわか」と言われる。まあ事実そうだとは思う。憧れだけが先行してカッコつけるから、イマイチ言葉に厚みがないしつつけばすーぐボロが出る。
でも自分はそれが悪いこととは思わない。むしろ、彼女の強みであると思うのだ。
彼女はにわか故に、あらゆる物事に強い好奇心を持って触れることが出来、常識とかセオリーとかとりあえず置いておいて自分の感性のままに色んなことを身につける。
これは、表現者としてとんでもない才能だと思う。
インプットにふるいがないということだ。それは、ありとあらゆる物事が、彼女を形づくるというわけで。
ジャンルに制約なくアイドルとして進化できるなら、そのにわかな好奇心がいつか何らかの形になる時、とんでもないものが生まれるじゃないか? と期待せずにはいられなくなる。
もちろんこれはただの空想ではあるけども、左翔太郎が自らを貫いて、仲間と共になしとげたものを見ると、どーしても期待したくなる。
幸い、李衣菜には良い仲間がいる。彼女が迷ったり壁にぶつかった時、たくさんの人が彼女を支えてくれるだろう。だからきっと、彼女は進み続けられるに違いない。そう信じる。そんで、とんでもないことを成し遂げてくれるのを楽しみにしたい。
以上、やっぱり多田李衣菜は目が離せないアイドルだなと、変なところで再実感した話でした。
多田李衣菜をよろしくね!
あと仮面ライダーWも!!
©2015 BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
©窪岡俊之©2011 BNEI