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正反対な君と僕 第61話『よりどころ』 ネタバレあり感想

 

 

前回の感想

 

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 うおおおお……平…………。

 

 

 

 今回の正反対な君と僕はタイラズマ回……というよりかは、平回でしょうか。

 58話の思考を経て、改めて自分の心と周囲に向き合いなおした平。劣等感があるから自分は他者と深く関わることができない、関わっても上手くいかない。それが彼の気付きでした。

 

 今回はそこからもう一歩、「ではその劣等感の正体は何なのか?」というところを思案する平が描かれました。自己愛の話にもつながるところもありましたが、平が欲しかったのは自分を受け入れてくれる、自分がそこにいていいと思える居場所だった。でも過去の平は受け入れてもらえなかったという経験をしてきたから、誰かの輪の中にいてもつい心の中で予防線を張ってしまっていたわけですが、では今はどうなのか?

 いつもの日常を過ごし、東と帰宅する平が何気ない会話の中で「みんなの中に当たり前にいる自分」を想像し、ついに気づきます。自分はすでにみんなに受け入れられていて、自分がいていい場所はすでにここにあったんだと。ただ自分がそれを信じ切れていなかっただけなのだと。

 



 この……自分の居場所がちゃんとあるのだとようやく自覚した瞬間の平のこの顔。嬉しいとも切ないとも形容しがたい、いろんな思いがにじみ出てきたような表情がもう……本当に切なくて切なくて。しかもそこから東にコンビニ寄らないかと誘うのがもう、もう最高に素晴らしい。いつかの誤魔化すためにコンビニに逃げ込んだ平はもういません。東に一人の友人として誘いをかけ、それに東が嬉しそう~に応える。表情こそ見えないものの、このラストカットの微笑ましさと言ったらもう、もう!

 

 しかも今回のこの平の気付きが何か特別なイベントによって引き起こされたってわけじゃなくて、東との日常の会話の中で積み上げてきたものに気づくってのがまたいいわけですよ。抜粋されている過去のシーンも我々読者からすれば印象的なシーンばかりで、そうだよ皆平と過ごす時間と大切にしてるんだよ、と改めて実感するには十分すぎます。

 この作品が始まって以来長らく、それはもう本当に長らく続いてきた平の思考。その果ての果てに、ようやく彼は答えを見つけたのでしょう。受け入れられたという自覚は、少しずつ彼が他者に対して踏み込んでいく勇気になるでしょうし、それこそタイラズマの関係はようやくここから始まると思うのです。

 もちろんいきなり自分の全てをぶつけることは難しいでしょう。卒業までの時間も短く、その変化のことも考えれば悩むことだっていっぱいあるかもしれません。

 けれど、ようやく前向きな一歩を踏み出せそうな平が周りの人たちときちんと言葉を交わしていけば、きっといつかそこに彼なりの答えを出せるはずです。少なくとも今は、そう信じられる希望が出てきたというだけで私は感謝でいっぱいになりました。ありがとう、先生。

 

 あ、東はそんな自分に向き合う過程の平にだいぶ振り回されてました。今回の考えこんでる平、態度や表情で何を考えているかだいぶ伺いづらかったですし、何よりすげえ近づいてる感ありますしね。このいちいち乙女な表情をする東が可愛すぎて。

 

 

 いやあ……はやくもっと乙女モード全開で付き合う東が見てえなあ……。

 

 あとサトの恋愛観が明かされていました。いい意味でちょっとドライでフラットな感じの目線はあんまりこの作品にないので新鮮。ナベとは違う意味で自分をしっかり持っている子なんだなと感じます。素敵です。

 

 ということで、ようやくタイラズマの平側の始まりを感じた一話でした。高校生活の終点もそうは遠くない中で、平が東との関係性にどんな答えを出すのでしょうか。

 じっくり進めていってほしい気持ちとぐっと近づいた2人の姿が見たい気持ちの両方に挟まれつつ、また次回に続く。

 

 

 

 

集英社 阿賀沢紅茶 [第61話]正反対な君と僕